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世界で一番かわいそうな私たち 第二幕 【感想】

こんにちは

オトです

 

 

 

はじめに

綾崎隼さんの「世界で一番かわいそうな私たち 第二幕」を読了しました。

以前に第一幕を読んだ時には第二幕の存在を知らず、結末が中途半端であることに疑問を持ち、調べた時に第二幕の存在を知りました。

第一幕の感想を以前出しているのでぜひ読んで見てください。

 

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あらすじ

フリースクール〈静鈴荘〉で教師として働きはじめた佐伯道成は、一人の生徒を追い詰める深刻なトラブル—謂れのない罪の告発と嫌がらせに直面する。大人の悪意から子供を守ろう必死に奔走する佐伯だったが、先輩教師の舞原杏が選択した救済のカタチはあまりにも意外なものだった。一方、心を閉ざしていた〈静鈴荘〉の住人・三好詠葉にも変化が訪れ、、残酷すぎる恋物語が動き出す。

 

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第一幕から第二幕へ

 

第一幕では、バスジャックが詠葉の目線から語られた。バスの中で何があったのか。犯人に人質にされ、さらには犯人の足にまでされた少女があの日の恐怖。

 

そして杏の口から語られた「瀬戸内バスジャックの犯人は佐伯道成である」という真実。

 

第二幕では“ひー君”こと鳴神幹久の過去が明らかになる。

「彼を本名で呼ばないことです。彼と同じように「ひー君」と呼んでください。これは冗談でも、あなたをリラックスさせるための方便でもありません。言葉の通りです。絶対に彼を本名で呼ばないでください」 

 〈静鈴荘〉のルールとしてそう言われた佐伯は疑問に思いながらも、第一幕では明らかにならずに終わってしまったが、第二幕でその事件は起こる。

 

そしてもう1つ。

明らかになっていない、“なぜ、佐伯は〈瀬戸内バスジャック事件〉を起こしたのか”ということ。

犯人であることを認めた佐伯が語った真実。

それは、想定外のものだった。

 

“ひー君”こと鳴神幹久の過去

鳴神幹久の名を呼んではいけないわけ。

それは“彼の存在がここにあることを知られてはいけない”から。

 

彼の父親は、飲酒運転で男性とその娘を死なせ、息子を植物状態世にさせた世に言う“殺人者”だった。

 

死なせてしまった男性の妻である細谷雅子は、執拗に相手の家族を追い詰めた。

矛先を向けられた残された母親とひー君は逃げても逃げても居場所を突き止められ悪意ある行動で二人を罵倒した。

 

私は家族を奪われたんだから、貴方達も失ってしまえば良い。

 

母親は、どうにか息子だけでもその悪意から守るために杏に預けた。

決してひー君の居場所を突き止められてはいけない。

その悪意を子供に向けてはいけない。

 

しかし、どんなに頑張って隠してもいつまでもは続かない。

平和な生活はそう長くは続かなかった。

細谷雅子に居場所を突き止められ、近所には「人殺しを匿っているスクールだ」なんて言われ、学校でもありもしないことを書かれたチラシを配られ。

 

警察はそのおかしな行動を納めてはくれなかった。

細谷雅子に響いたのは杏の言葉だけだった。

 

 「あなたが答えを見つけない限り、あなたも、あなたの大切な人も、救われない。逃げずに『今』を生きてください。『今』あなたが本当にすべきことは何ですか?」

 

 私がこの後の人生を歩んでいく中で、何かにつまずいた時この言葉を思い出せたら良いと思う。現実から逃げることなく、自分の大切なものを守るために『今』を生きることができるように。

 

細谷雅子の行動はきっと、愛する者を失った人にしか分からない感情が込められていて、誰にも全面的に否定することなどできなかった。

しかし新しい犠牲者を出すことは、また誰かの愛する人を奪うことにもなるのだ。

それは復讐が復讐を生みかねない。

それは決してあってはならないことなのだ。

 

ひー君が笑顔で暮らしていけますように。

 

あの事件の真実

第一幕で杏の口から発せられた「バスジャック事件の犯人が佐伯道成である」という真実。

 

瀬戸内バスジャック事件〉の当時、佐伯道成はたったの13才だ。

そんな幼い子供がなぜ、前代未聞のバスジャック事件を起こしたのか。

 

その真実が佐伯の口から語られた。

 

中学二年生の時にやってきた転校生・多部沙智香。

彼女は転校してきたその日から一度も学校に来なかった。

佐伯は、プリントを届けるように頼まれ彼女の家に行き、やがて毎日のように放課後に彼女の家でゲームをするような仲になった。

 

佐伯にとって初めての“友達”であり初めての“恋”だった。

 

やがて知ることになる、彼女が学校に来ない理由。

彼女の父親は世間を騒がせた〈三億円事件〉で誤認逮捕された人物だった。

実際には、彼は犯人ではなく、ただ容疑をかけられた“被害者”だ。

犯人が逮捕されなかったこともあり、彼女の父親はマスコミの餌となり追いかけ回され、母親は心を病みやがて亡くなった。

そのことが噂になるのも時間の問題で、学校に行っても噂の餌食になるだけだ。

 

彼女は苦しんでいた。

私たちは永遠に苦しめられると叫ぶ彼女を守るため

彼女の家族を追い詰めるマスコミを、世間の目を、別のものに向けるため。

あの事件を超えるなにかを起こせばいい。新たな被害者を出すことなく、それを超える何かを。

 

誰一人傷つけずに初恋の少女を救うと、その日、少年は決意した。

 

たった13歳の少年が、〈三億円事件〉を超える事件を一人で成し遂げた。

 

しかし現実は何も変わらない。

 

やがて沙智香は引っ越した。

何も言わず、何も残さず、佐伯の前から姿を消した。

 

佐伯の心は空っぽのまま、大人になった。

 

第三幕

 

佐伯は自首をするべきなのかそうでないのか、答えは出ていない。

自首をするということは、詠葉を傷つけることになる。

 

何を選ぶべきなのか、正解は誰にも分からない。

 

そして。

杏と詩季の謎の多い夫婦の隠された真実。

 

「俺はね、時々、杏と詩季のことを、世界で一番かわいそうな夫婦なんじゃないかと思うことがあるよ」

 

杏の従兄弟である舞原留伽が本作の最後に放った言葉。

 

この真実がどういうものなのか。

この言葉の意味はなんなのか。

 

第三幕で全てが明らかにされるだろう。

 

最後に

 

最後に吐季君という男の子の名前が上がっていたのですが「ノーブルチルドレン」シリーズで会ったことあるよな・・・。

「ノーブルチルドレン」も購入して読み直そうかなあ、と考え中

 

綾崎さんの作品、おすすめです。

 

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ではまた。

 

 

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