oto`s life

初めまして。oto(オト)と申します。本に纏わるお話をしています。気軽に覗きにきてください。

誰も死なないミステリーを君に 井上悠宇・著 【感想】

こんにちは

 

今回は井上悠宇さんの「誰も死なないミステリーを君に」についてお話ししたいと思います。

 

この作品も前回同様、初挑戦の作家さんでしたが、書店で見かけた時に表紙に惹かれて購入しました。

中身も大事ですが、物語に合うデザインやイラストもとっても大事ですよね。

 

 

 

 

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誰も死なないミステリーを君に

あらすじ

自殺、他殺、事故死など、寿命以外の“死”が見える志緒。彼女が悲しむよう、そんな死を回避させるのが僕の役目だった。ある

日、志緒は秀桜高校文芸部の卒業生4人に同時に“死”の予兆を見た。“そして誰もいなくならない”ため、僕は4人を無人島に招待、安全なクローズド・サークルをつくった。だがそこにに高校時代の墜死事件が影を投げかけ、1人、また1人と・・・。

これは2人にしかできない優しい世界の救い方。

 

 

他人の死が見える運命

このような設定の作品は、他にも似たよう

なものがある。ただ“どう見えるか”が違うだけ。

例えば百田尚樹さんの「フォルトゥナの瞳」でも主人公は同じ能力を持ち、死に近づくとその人物が“透けて”見える。

古宮九時さんの「死を見る僕と、明日死ぬ君の事件簿」では、“やがてくる未来の自分の死の時を繰り返し続けている影”が見える

 

同じ設定は多々あるけれどそれぞれ見え方は違う。

 

志緒の場合は顔にモザイクのようなものがかかる。

死に近くにつれ、それは一本の線だったものから段々と顔全体に広がっていく。

(モザイクという表現は、死が見える志緒から聞いたものを参考に、“僕”が表現したものである)

 

誰も死なないミステリー

色々なところに伏線が張られていて、後半を読みながら思わず「えっ」と声を発してしまうところも。

 

志緒のその力を生かすことで、死から救おうとする2人。

 

父が逮捕され学校に居場所がなくなった過去を持

つ僕。

幼馴染が死んだ過去を持つ志緒。

 

過去に傷を負った者たちが、他人の死を救おうと奮闘する。

 

その結末は意外なところにあった。

 

学校でのいじめが

あの日、フェンスをよじ登った彼女が

亡くなった幼馴染が

 

全てが関係したことに気づいたのは、まさに真実が明かされた時だった。

 

感想  以下、ネタバレあり

面白いと感じたのは、名前だ。

 

佐藤

志緒

武藤

 

これだけではかなりありきたりな名前な気がするが、

 

シュガー

シオ

ノンシュガー

 

と変換すると面白い。

シュガー(サトウ)とシオは読みながら“なるほど・・・新しい”というような感想だけ持っていたが武藤のムトウ→無糖→ノンシュガーは驚いた。

 

あそこに繋がっていたのか!

勝手にあれは志緒かと思っていた・・。

 

一度“死”が見えてしまったら、それは回避しようがないと思っていた志緒。

 

その“死”を聞いてしまったから、その幼馴染は生きることを諦めてしまったと自分を責める志緒。

 

もし幼馴染が生きていたら、と


考えてしまった。

もしその前に、それが未然に防げるものだと分かっていたら、と。

 

ただ、もし幼馴染が生きていたら、きっと佐藤と志緒は出会っていなかっただろう。

もしあの事件がなければ、志緒はあの日、屋上に行かなかっただろう。

 

全てが、運命のような気がして堪らなくなった。

 

哀しいけれど、未来は明るいと信じて本を閉じた。

 

次巻

このくだりは以前にもあったが、これにも続編があるらしい。

しまった。買うしかない。

 

ぜひ、読んで見てほしい。

この本の中で出てきた問題は、一冊のうちに解決してしまているからこれだけでも十分に楽しめる。

 

最後に一言

誰も死なないクローズド・サークルなんて聞いたことがない。

斬新かつ新鮮だった。

 

 

ではまた。

 

 

誰も死なないミステリーを君に ハヤカワ文庫JA / 井上悠宇 【文庫】