oto`s life

初めまして。oto(オト)と申します。本に纏わるお話をしています。気軽に覗きにきてください。

父からの手紙 小杉健治・著 〈感想・ネタバレあり〉

こんにちは

 

今回は小杉健治さんの「父からの手紙」についてお話ししたいと思います。

 

小杉さんの作品は、今回初めて読みました。

書店に行った時に、目立つところに置いてあって一度通り過ぎたものの読んだことのない作家さんだったということもあり、挑戦の意味も込めて、購入しました。

 

でも今考えると、なぜあんな目立つどころに置いてあったか・・・。見てみれば新刊でもなさそうで、映像化を宣伝している訳でもなさそうだったので、私が行った書店の思惑はどんなものだったのか気になるところです。

 

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父からの手紙

 あらすじ

家族を捨て、阿久津伸吉は失踪した。しかし、残された子供、麻美子と伸吾の元には、誕生日ごとに父からの手紙が届いた。十年が経ち、結婚を控えた麻美子を不幸が襲う。婚約者が死体で発見され、弟が容疑者とし

て逮捕されたのだ。姉弟の直面した危機に、隠された父の驚くべき事実が明かされてゆく。

 

 

 つながりのない二人の視点から語られる物語

 

婚約者が殺され、弟が容疑者として逮捕されたことで、もしかしたら、と十年前に失踪した父を探し始めた麻美子。

 

刑事を殺害し9年間の服役を終え、焼身自殺をした兄の妻を探し始めた圭一。

 

 

二人の目線から語られ、全く別のものを探していた二人が辿り着いた真相は、一つだった。

 

とても悲しい真実。

 

 

毎年誕生日の届く父からの手紙には、子供達への愛情が語られていて、時にそれを糧に生きてきた。

父がなぜ失踪したのか。

十年前のあの日、離婚し、家族を捨てた父は、今どこで何をしているのか。

 

 

 父の選択

 

父は家族を守るため、姿を消した。

沢山の手紙と、沢山の愛情を家族に残して。

 

その行動は正しいことだったのか。

 

家族と戦うのではなく、家族の前から姿を消すことで、子供達を守ることになると考えた。

それは、父として正しい姿だったのか。

 

きっと、違う。

あの時家族に、子供たちに素直に話をしていればきっとこんなことにはならなかった。

 

 

誰かを幸せにするために、自分が犠牲になってはいけない。

 

 

それを誤った。

 

 

共に幸せになることを選べなかった父の思いを

十年越しに麻美子は受け取った。

 

最後の手紙まで、沢山の愛情を残して。

 

 

 

ではまた。


 

 

父からの手紙 長編小説 (光文社文庫) [ 小杉健治 ]