oto`s life

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塩の街  有川浩・著【感想・ややネタバレ】〜世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた〜

こんにちは

 

今回は有川浩さんの「塩の街」についてお話しします。

 

こちらは有川さんのデビュー作です。

 

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塩の街 表紙

あらすじ

塩が街を埋め尽くす、塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる二人の前には様々な人が現れ、消えていく。だが・・・。

「世界とか救ってみたくない?」

ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。

 

 

 

本来だったら決して出会うことのなかった二人。

 

塩害が起こった日。

真奈の両親は帰ってこなかった。

確かめる術がもしかしたらまだあったかもしれないのに、現実を受け止めるのが怖くて、ただ一人待ち続けた。

 

そんな極限まで落ちた世界は、

汚れていて。

 

女の子が一人。

そうわかった上で

法も何もかもがなくなった世界で

狩ろうとする人間たちがそこには確かに存在していて

 

ただ

 

そうじゃない人も、いた。

 

好きな人のため、歩き続けた人。

好きな人に想いを伝えられなかったと悔やみ、逃げ出してた人。

 

そして

 

真奈をただ黙って匿った、秋庭。

 

他人だったはずなのに、

落ちるとこまで落ちた世界で助け、助けられただけの二人だったはずなのに。

 

他人という言葉は

いつの間にか重くなっていた。

 

互いに何かあった時、無心ではいられないほどに

他人ではなくなっていた。

 

塩害で壊れた世界。

塩害で戻ってこなかった、真奈の両親。

 

しかし。

 

塩害が起こっていなければ出会うことのなかった、真奈と秋庭。

 

そのことをどう捉えるのか。

見守るような気分で読んでいたように思う。

 

真奈と秋庭がお互いを「大事な存在」だと「いなくてはならない存在」だと認識した時、

初めて、塩害後の世界に希望が見えた気がした

 

 

 

変わらない明日が来るなんて

もう世界は約束してくれないのを知っていたのに。

 

 

この言葉が、私の中で強く残っている。

 

 

どうか、これ以上大切ななにかを失うことがありませんように。

二人がこれ以上悲しむことがありませんように。

 

 

“世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた”

ではまた。

 

塩の街 (角川文庫)

塩の街 (角川文庫)

  • 作者:有川 浩
  • 発売日: 2010/01/23
  • メディア: 文庫